日本人拘束の事件 その2   

 今回の事件では「自衛隊を撤退させよ」という日本国内の世論が高まった、とされている。

 おそらく、もともと自衛隊の派遣に反対だった人たちが勢いづいたということだろう。テレビの報道では「自衛隊の撤退を求める署名が15万人」とあった。新聞では人質の解放を訴える署名となっている。

解放訴える人質家族のメッセージ放送、15万人署名も

 この「世論」とされる「自衛隊撤退の要求」には2つある。内戦を引き起こしている武装勢力たちが「自衛隊を撤退させたら人質を解放する」と言っていることから、人命救助のために犯人の要求をのめ、という意見と、「そもそも自衛隊を派遣したから日本人が狙われた」、だから自衛隊なぞひっこめろ、という意見だ。

 これに対し、政府は「テロリストの脅しには屈しない」として断固拒否する姿勢を早くから出すことで、今後の悪しき前例となることを防いだ。そして「イラクへ人道支援に行っているのに、撤退を要求するいわれはない」として毅然とした態度を貫いている。

 これは世論の2分類のうち、後者に対する明快な回答となる。では、前者に対する回答はといえば、いずれ詳細に明らかになるかと思われるが、人命救助のために現在行っている全力の救出工作だろう。

 日本の世論にはもともと自衛隊派遣に反対するものが存在するので、一気にそれが高まって、マスコミも取り上げるが、冷静に考えてみれば、自衛隊が派遣されたことと日本人が人質にとられたことに因果関係が強いかと言われるとそうとはいえないだろう。自衛隊が現地にいってなくても、日本人を捕まえてアメリカに対して圧力をかけることだってできる。同盟国の日本が黙ってはいないだろうから。日米に揺さぶりをかける手段として日本人が狙われることだって当然あるだろう。武装勢力の言い分など、自衛隊撤退以外にいくらでも存在するのだ。

 その意味からすれば、もともと自衛隊派遣に反対だった人たちが作り出す世論に一方的に傾くことなく、冷静に、危機管理能力のない勝手な行動がもとで、敵に弱みをみせることにつながる軽率な行動は慎まねばならない、という、グローバル社会の一員としての我々国民の意識の問題としてこの問題を取り上げることも重要だと思う。

 被害者の家族の方々のお気持ちは、我々の想像には及ばない、大変につらいものだと思うが、今回指摘した点も押さえておいてほしい。もちろん、無事解放されることを願っている。

 これを機に、国際貢献のあり方について議論が喚起されることを臨みたい。国レベル(もちろん自衛隊も含めて)や民間レベルで、日本としての国際貢献のあり方とは・・。

 最後に、幹事長の提案には反対である。自衛隊の歯止めがなくなっていきそうで怖い。

<イラク人質>「自衛隊の海外活動見直すとき」 安倍幹事長
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by cogno_eb2 | 2004-04-12 12:27 | ニュースコラム

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