「正論」について思うこと   



miemoveさん経由でjallyさんのとこ行ってみました。コメントで「~は正論だ」という表記があったことについてです。

 私の中では、「正論だ」というのは評価する言葉だと考えてます。AとBが議論していてCがAを評価して「正論だ」という。あるいは議論をしているBがAに対して「正論だ」と評価する。

 結局は評価の問題だから、正しいか正しくないかは評価主体(ここではBもしくはC)の評価基準に準拠するわけで、その評価基準を共有していない人、もしくは持てない人には、いくらBやCが正論だといっても「正しくはない」と評価されますね。

 結局は、コトが評価の範疇にある話なので、人の数だけ評価基準がありますから、ある人が正しいと思っても、ある人は正しくはないと思うケースが当たり前です。

 その意味では議論の中で誰かの意見や論理を評価する際に「正論だ」という言葉を使うべきではないでしょうね。私は久しくこの言葉を使ったことも見たこともなかったので、ついこの話題のブログへ行ってきました。

 なぜ「正論だ」という言葉を使うべきではないか。それは、他にもっとふさわしい、評価を表す言葉があるからです。「私は、正しいと思う」と書けばそれで済むことです。評価主体は「私」に限定されていて、「私」に限って言えばそれは正しいと「思った」ことを端的に表しています。私でない誰かは違うと言うかもしれないけど、「私」はそう思ったということですから。そして、根拠を示さない場合は単に「思う」「思った」、根拠を示すなら「~と考える」というふうに書けばよい。

 「正論」と書けば、その言説に普遍性を与える(みんなが一様にそう考えるべきことを要求する)ことになるので、「なぜあんたが普遍性を審判してんの?」というつっこみが、もれなくもらえることでしょう。
 
 ということで、ただ単に「そいつの意見がまともだな」と「思った」くらいのレベルの話に「正論だ」などといわないことが賢明ですね。せめて、評価できる根拠を示して、「私はこういう根拠であなたの結論に賛成だ(反対だ)と考えます」というのが精一杯でしょう。

 私はかつてここらへんに興味をもって勉強したことがあります。『社会学的思考の基礎』下田直春 という本がきっかけだったのですが。社会科学でいう科学的な論理には、評価主体や判断主体の主観は紛れ込まないか?というテーマでずっとあれこれ本を読みましたね。

 今回のテーマに絞って簡単に書くとこういうことです。

 「評価主体は100%すべての情報を持ちえていない」ことから、議論の出発地点はすべて相対的な地平にいる

 →簡単に言えば、自分が知っている以上の情報に出会ったら、自分の前提や根拠は容易に崩れる可能性があるということ。

 「評価主体の持つ情報は、その人の主観に引っ張られる傾向にある」ことから、自分が収集した情報それ自体が自分の興味・関心のあるものに限定されるキライがある。

 →つまりは自分が「こうだ」と思って情報を集めるから、情報のストックに偏りがある。

 この二点だけみても、我々の言説など、どれほど相対的なものかわかるはずですよね。我々は相対的な地平にいる、ということを前提としなければ、すぐに偏った言説になってしまいます。

 自分がそうだと思ったことすら相対的であることを十分に認識すれば、断定表現はよほどのことがない限り使うことはないでしょう。もちろん、三段論法などの理論の積み上げの結果必然として出てくる結論を除けば。

 ここから先は形式合理性とか実質合理性とかそんな話になっちゃうので、打ち止め。

 私は2chとか、一部のブログで展開されているような、好き勝手な言説は大キライです。感情むき出しの言葉遣いは議論の対象にならないから頭を冷やせとか、断定するなら根拠を示せ、とか、思ってしまうので、この辺の言説はあまり見ないですね。まるでこちらの参考にならないので。

 我々は一部の情報にしか接していないということと、持っている情報は自分のカラーを帯びているということ、ゆえにいつ崩れるかわからない相対的な地平にいるということを認識すれば、自分が気づかずにいた情報や論理に対して門戸を開く寛容な態度になれるでしょう。

 ブログというツールはこれまでのHTMLとは違って、こうした意見の集積がたやすいすばらしいツールだと思うので、相対性を認識した使い方をすれば、我々はもっともっと多くの情報に触れることができ、賢明さを増していくことができるでしょう。

 そんな目的でブログやってます。

 でもうちのニュースコラムにはあまりコメントが入らない・・・(涙)

 面白くないのかな・・・。難しいのかな・・・。 
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by cogno_eb2 | 2004-04-13 16:32 | 雑記(日記?)

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