維新八策の評価(2)   

維新八策の1「統治機構の作り直し」の分析

維新八策は【理念・実現のための大きな枠組み】と【基本方針】からなっている。

理念は理念なので、理念として読んでいくしかないが、

「難問を先送りせず決定できる統治機構」
「国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で」

というのは、あまりにも稚拙である。

そんなことはこれまで何度も議論されてきた。世論の中には「これまで何度も議論されながら実行されなかったじゃないか」という声が根強いが、その声に応えるつもりなら、なぜ実行できなかったと日本維新の会は考え、これが元凶でこれをこうしたら変えられると具体策を提示する必要がある。

それらが示されないまま、橋下氏個人、あるいは維新という集団へ期待して、「こいつらならやってくれるかも」という感情・感覚で国政の権限を与えるなら、それは民主党の政権交代劇の二の舞になる。

理念としては、「難問を先送りせず決定できる統治機構」に作り替えるというのが大命題のようだ。これは国・地方の両方の統治機構を指すと考えられるが、基本方針では地方政府の統治システムへの言及がない。現在大阪維新で知事と市長のポストを確保しているのだから、いの一番に言及できる事項のはずだが。

続いて、地方分権型国家が目標であるそうだ。国は外交・安全保障・マクロ経済政策などに役割を限定し、地方政府が内政を行う。その財源は事務量に見合った財源委譲を実施することを理想としているように読み取れる。

これは1993年の地方分権の推進に関する決議(衆参両院)以来繰り返し論じられてきた国家像で、新しさはない。加えて、20年経っても実現できていない難問中の難問だ。

難問を先送りしないと言っていることから、政権4年と考えれば、4年で実現させるロードマップが示されることを期待したい。

続いて、地方政府は自立させ、倒産のリスクを背負うとある。基本方針では自治体破綻制度を創設するとあり、地方交付税の廃止、消費税の地方税化、地方間財政調整制度の導入と並んでいる。さらに、地方政府を都市間競争にさらすことを方針としている。

現在、都道府県で地方交付税をもらっていないのは東京都だけであることを知っているだろうか。その他の自治体は、自主財源(地方税)だけでは仕事が回らず、地方交付税に頼らざるを得ない状況にある。都道府県の中では自主財源比率がわずか3割という自治体もある。

地方交付税を廃止すれば、消費税の地方税化でもその穴は埋められない。そのため、地方間財政調整制度の導入を挙げているが、地方分権推進委員会等の議論を見てもわかるとおり、理想型の一つであっても現実的ではない。

ましてや、維新八策によれば自治体は競争にさらされるわけで、企業誘致や人口増加の取組みを競争しながら展開し、競争に勝った自治体が、競争に負けた自治体に財源を差し出すだろうか?八策のいうとおり自治体運営が経営なら、勝ち組が自らの資金をもって負け組の資本増強に手を貸すわけがない。待っているのは新たに創設するという自治体破綻制度の適用だろう。

地方交付税制度とは、そうした自治体間の財源調整を当事者である自治体間でできないから生み出された制度で、国に吸い上げた分を配分する、いわば所得再分配的な目的で創設されている。それに勝る制度を作ろうという意気込みには「いいね」を押してやるが、維新八策に描かれているシステムは実現可能とは考えにくい。

最後に、道州制が最終の理想型として挙げられており、そのシステムを導入することを見据えた基本方針が並んでいるわけだが、道州制における権限の集中問題について触れていないのが大きなマイナスポイントだ。

現在、東京都知事は人口1千万人超のトップだ。むろん、23特別区があるから権限集中の度合いを一概には論じられないが、道州制となったばあい、関東あたりの州では、実に人口2千万人超のトップとして、絶大な権限がたった一人に与えられることとなる。機能を失っている地方議会のテイを見れば、これほど権限が集中することに懸念を表明する反道州制論者に、中央集権・上意下達の弊害を排除した、1/2000万超の首長に市民の声が届く地方政府のシステムを具体的に示さなければなるまい。

加えて言えば、府知事と市長の両ポストを抑える大阪維新が、理想とする大都市制度を実現して実績として示すことが先であることは間違い無い。そこでできないのに国の制度を変えるというのは一足飛び以上の論理の飛躍である。
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by cogno_eb2 | 2012-09-21 04:22 | 維新の会

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