憲法論議に一言二言。   

 ちょっと時期を逸した感があるが、憲法記念日にちなんだコラムを少々。

 まず、なぜこんなに憲法改正の動きが活発化したのか、という点に、少々驚きを覚えた。直接的な要因はマスメディアに憲法改正という文字が躍る頻度が高くなったからだろうが、なぜメディアに出はじめたか、といえば、やはり政治家が憲法改正を口にしだしたからで、その原因はやはり憲法9条の問題に起因するだろう。

憲法「改正すべきだ」59% 半数を超える

 毎日新聞のこの記事にはこうある↓

 「改正」賛成者に、憲法9条1項でうたっている「戦争の放棄」を変更する必要はあるかを聞いたところ、「変更して、自衛権を明記すべきだ」は50%、「変更する必要はない」が45%だった。また、9条2項の「戦力不保持」変更の必要性についても聞いたところ、「変更して、自衛隊を持つことを明記すべきだ」が57%だったのに対し、「変更する必要はない」は36%だった。(毎日新聞)

 この世論調査では「自衛権を明記すべき」「自衛隊を明記」という選択肢があったようだが、「日本も軍隊を持つべきだ」という書き方をしていないのがなんともひっかかる。

 多くの国民が「集団的自衛権」のなんたるかを理解しているとはなかなか思えないし、「戦力不保持」を変えて「自衛隊」を持つことはすなわち日本軍を組織することになる、ことを認識しているとは思えない。

 私は読売新聞の憲法試案を見てたいそう驚いた。自衛のための軍隊を持つことができる・・・。国際紛争を解決するための武力行使を放棄しながら、自衛のためであれば軍隊が武力を行使する、ということか。

 戦力を保持しないという現行憲法ですら、解釈論で自衛隊を持てるようにしてしまったのに、自衛であれば軍隊=戦力を保持してよい、というのは、今後の拡大解釈が大いに危険である。

 拡大解釈をせずとも、「この程度の軍隊で自衛ができるのか!」という議論で、軍拡の方向に進むことは目に見えている。

 軍備を増強して対応できるのは、宣戦布告があって始まる、旧来の国と国との戦争。同時多発テロなどの行為は、いくら軍備増強しても防ぎきれないのではないか。軍事大国アメリカがそうであったように。

憲法改正賛成5割超す 9条改正は6割が反対

 改正を必要と考える理由では「新しい権利や制度を盛り込むべきだから」が最多の26%。改憲派の半数は、プライバシー権や環境権など「新しい権利」に目を向けている。続いて「アメリカの押しつけではない憲法をつくりたいから」14%、「第9条に問題があるから」7%、「文章がわかりにくいから」5%の順。(朝日新聞)

 朝日新聞の調査結果を見てみよう。新しい権利や制度を盛り込むべきという考えは、具体的にこの権利やこの制度というものが浮かばないが、漠然と「確かにそうだな」と思わせる選択肢だ。私も漠然とそのようには思う。

「アメリカの押しつけではない憲法をつくりたいから」というのには驚いた。まだこんな古い考えを持つ人がいるのかと思うと、憲法改正の問題は、古い世代が退場してから考えてもいいのでは、なんて思ってしまう。敗戦後、アメリカが作った憲法の前に、日本人が作った憲法が明治憲法の域を脱していないとして退けられた経緯を知らないのだろうか。

 私は戦力の不保持という、一見ユートピア的な絶対平和の憲法を簡単に変えるなどとは言ってほしくないと、素朴に思った。

 自民党の議員の中には、自衛隊を国際貢献の舞台に送るためにも改正が必要だと言っているが、まずは、国際社会において日本がどのような国際貢献をしていくかについて深い議論が必要だと思う。今回のイラク派遣のように、国際社会というよりはむしろアメリカ追従のような外交姿勢では平和国家を築いていけないと思う。

 また、戦力の不保持を憲法にうたいながら、人を殺傷し他国を侵略できる力(=自衛隊)をもつに至ったこれまでの政治を検証する必要がある。

 深い議論がなされずに、世論をプロパガンダにのっけて、改正の方向に進むのは、あまりに危険だ。

 日本は未だに大衆社会なのだろうか、と、愕然とする思いだ。

 政府や政治家、そして官僚というのは、形式合理性で防御することがうまい。一回防御されてしまうとなかなかやぶれない。そして彼らは、無防備な我々を操作することもうまい。

 我々市民は彼らの形式合理性と同じ土俵に乗れる力をつけなければならない。
[PR]

by cogno_eb2 | 2004-05-06 11:05 | ニュースコラム

<< ヴェルディ森本 ゴ~~ル! 残念・・・ヤナギが契約打ち切り >>