自民党の政権公約を読んでみた(2)   

「美しい国土、景観、町並み、住宅、歴史的遺産・行事などの整備再興など国土と文化、伝統などを含めた都市・地域再生、中心市街地活性化の総合的推進。」

 いやぁ、何をやってくれるのかさっぱり見当がつきませんねぇ(笑)。これの進捗状況として書かれているのがこれ↓

「都市再生特別措置法改正案、景観法案、都市緑地保全法等改正案などを平成16年通常国会に提出。
平成16年度予算で景観形成事業推進費(200億円)、まちづくり交付金(1,330億円)、緑地環境整備総合支援事業(50億円)を措置。
159国会提出関係法令/(成立)文化財保護法、都市再生特措法、景観法、景観法関係整備法、都市緑地保全法」

 実際どんなことがどんなふうに変わるのか、ということは成立した各法の中身を見なくてはなりませんが、それにしても、「~の総合的推進」というよくわからない公約の中身が、実は5本の法案・改正案であり、合わせて1580億円の予算措置だったとは、驚きですねぇ。公約の時点ではまるっきり中身がわからないんですからねぇ(結局これだけ見たのではよくわかりませんけどね)。

 ということで、今回の「120の約束」では大幅に増えたような印象のある抽象的公約も、実はその裏には法改正だの予算措置だの、計画の策定だの、審議会の設置だのと具体的な動きがちゃんとあり、それが成果としてあげられるならばちゃんとあがってくる仕組みになっているんですね。

 そこでまた先ほどの疑問が。これだけの動きができるのは、実はやはり、霞ヶ関が連綿と5年計画だの10年計画だの、「○○プラン」だのを作って動いているからで、決して全てが政権与党の公約によるものではない、ということが言えるのではないでしょうか。問題は、政策決定はどこでどのように行われているか、という政策決定過程の問題なんですけれども、私的にはそれは、公約の全てが決して自民党において策定されているわけではない、と考えています。興味深い論文を紹介しておきましょう。

「情報政策とポスト開発主義:理論的考察」(PDF)

 我々のように霞ヶ関の内情など知る由もない一般ピーポーにとっては、このような研究は非常に興味深く、この研究によれば、やはり政策決定のほとんどは霞ヶ関で行われているのですね。

 単純に言えば、社会科の授業で習った司法-行政-立法の三権分立という本来の姿はすでになく、立法府は行政の政策立案の追認機関プラス、議員立法による立法機関であり、政治家の活動の中心は、利害関係者の代表として、霞ヶ関の政策決定過程に割って入って軌道を修正するというものになるでしょう(国会議員の皆さん、違ってたら実像を教えてくださいね)。先の論文のムカデ理論によれば、しっぽに近い部分は霞ヶ関発で、頭近くで権力闘争が起きているモデルとなってますよね。上のように想像するのは、そうは外れてないかと。

 そのことを頭に入れて自民党の政権公約をどのように読めばよいかとなると、非常に難しい問題になります。官主導で実施される政策にはパブリックコメントなどの方法もありますし、むしろ霞ヶ関に声が届くなら、そっちに働きかけるのが有効とも思えますし、働きかけを議員に頼むのも有効。とすれば、選挙の時の政権公約ってなに?ってことに・・・。

 自民党の場合、公約に載っているもののほとんどが実は霞ヶ関発、ということであれば、実現可能性はおりがみ付きということになります。自民党の政権公約の中で支持したいものがあれば、関係省庁のHPでその分野の計画や構想などを調べて、そこに書いてある政策の実像を確認して決めるのがよいでしょう。政権公約の中で霞ヶ関発のものではなく、政治的なものがあれば、それを他党の構想などと比較して判断するのがよいでしょう。実際には非常に難しいですが・・。

 一般論として、政権与党のマニフェストを読んでいくのはかなり難しい作業を伴うのではないかと私は考えます。マニフェスト選挙といわれて日が浅く、政党も、我々有権者のほうもレベルがあがっていない状況ですから、ほんと難しいですね。
投票まで日がないので、自民党政権公約の中で霞ヶ関発のものではないものを探す努力ができるかどうか不安ですが、私なりに少し考えてみようと思います。

 だいぶ長くなったんですが最後にひとつ。「週刊木村剛」にて[ゴーログ] 鉄の心臓に毛を生やさなければ「改革」はできない!というエントリがありますが、「改革をする」というのは族議員の抵抗ももちろんありますが、霞ヶ関の官僚軍団をなんとか丸め込む力量も忘れてはならないように思います。

 今は懐かしきタナカマキコ騒動の時も、官僚がそっぽを向いて大変でした(あれはマキコ氏が変人だったからなのか、官僚が改革に抵抗したからなのか真相は不明ですが・・)。官僚が動かなければ法案はできないし、政策も前へ進みません。官僚は頑強な抵抗手段も、抽象表現に含ませて骨抜きにする技も、のらりくらりと逃げる技も持ち合わせているプロ集団ですから(想像ですけど)、政治家はまずこのやっかいな軍団と戦い、そのあと族議員と戦い、ようやく改革ができるわけです。これは木村氏が言うように「鉄の心臓+剛毛」がなければやっていけないでしょう。その意味では、竹中氏は鉄の心臓に七三の黒い毛が生えた人物なのかもしれません。

 さっきの話に戻ると、表だった争点にならない(したがってマスコミも報道しない)おびただしい数の法案や改正案や政策は、誰も抵抗することなく、官僚主導で決まっていっているのでしょうね・・。
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by cogno_eb2 | 2005-08-26 17:59 | ニュースコラム

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