特集:神奈川県の行政改革の取り組み 現在進行中のアクションプログラムを見る(2)   

 では、アクションプログラムをみていこう。

 県民サービス向上の取組の体系図がある。これが全体像だそうだ。

【行政効率・行政サービスの向上】は、「電子県庁の実現」「サービスの一層の充実」「許認可等の規制の見直し」の3本柱となっている。
 「電子県庁の実現」はさらに次の6項目を要素とする。
・申請届出の電子化
・入札調達手続きの電子化
・行政情報提供機能の充実
・県民参加の電子化
・行政事務の電子化
・情報セキュリティ対策の充実

 まず、「情報セキュリティ対策の充実」とあるが、これは行政効率の観点でもサービス向上の観点にも当てはまらない。インターネットをツールとするなら当たり前のこと。わざわざここに書くまでもない。

これではまるで、「セキュリティ対策に万全を期すから、県民サービスを向上させてますよ」と言っているようなもの。ネットの世界では安全であることがレベルゼロで、危険であることはもはやサービスではない。

 あと、「セキュリティ」が半角カナになっているのはよした方がいい。みっともない。コンピューターの世界では半角カナは禁じ手というかタブーでしょ。

 ということで要素が1項目消えたのだが、上から細かく見ていこう。

●アクションプログラム:申請届出の電子化
 申請届出をインターネットでできるようになることは確かに便利だ。でもその前に、システム経費が一体いくらになるのか。開発に3億、運用に毎年3億ということで莫大な金額をこのシステムにかけるわけだが、私の経験では、免許証を除いて、県の窓口に申請届出をしに行ったことがこれまでに1回もない。

 ネットで免許の書き換えができるのであれば、それはありがたい。仕事を休んで半日つぶさなくてもいいし、あるいは土日にめちゃくちゃ混んでいる免許センターに行かなくても済む。でも、申請用紙や肝心の免許証が紙の現物だし、講習やら視力検査やらがあるから、実際にはネットでできるわけがない。

 何億もかけてネットで申請できるシステムを作っても、実際に使用するのは一部の限られた手続のみで、したがって限られた人にしかメリットがないのではないか。それに、添付しなければならない必要書類がたくさんあって、それらが「紙」だったらネットで申請できない。切手貼って郵便で送るのか?だったら夜間窓口を設置した方が便利。

 行政サービスとしては以上のようにあまりメリットを感じない。開発しない分、税金をやすくしてくれた方がよっぽどいい。

 では行政効率はどうなのか。申請届出が電子化されたら、これまでの処理スピードがアップするのだろうか?申請しても結果がでるのに1週間から10日かかる、というイメージがある。もちろん、これは「早くて」の場合。ひどいものは1ヶ月もかかるようなものもあるのではないか(あくまでイメージの話。県の手続きの実際は、やったことがないのでよくわからない)。

 処理スピードがあがるのであれば行政効率の向上に一役買うであろう。そうでないならメリットは全くない。

●アクションプログラム:入札調達手続の電子化
 先日、橋梁談合の事件が報道された。

 入札は談合がつきまとい、一部の事業者が官の“高め”の“おいしい”仕事を分け合っているイメージが強い。これは、入札のタイプが指名競争入札になっているからだ。

 横須賀市がネット入札をして値段が下がったというニュースは有名だが、横須賀市のHPにもあるように、ネットで入札したから談合がなくなって競争が起きて安くなったのではなく、一般競争入札を実施したから競争が起こったのである。問題は一般か指名かであり、ネットでやるか役所でやるかではない。
 
 このアクションプログラムに記載されている入札手続の電子化の目的は、「その都度県機関まで出向く必要がなくなる」ことをメリットとしている。入札参加者の負担軽減が目的ということは、ネットでも指名競争入札をするのかな?と思わせる。

 これでは入札参加者の負担軽減というわずかなサービス向上に、何千万・何億もかけて入札システムを作ることになり、過剰なサービスではないか。「電子化に対応した制度等の見直しに取り組みます」としか書いてないので、横須賀市のように原則一般競争ということをうたっておらず、「一つひとつの仕事の進め方を根底から見直します。」という宣言からはほど遠い内容だ。取組内容のスケジュール表には制度設計の線表が引かれていない。

つづく
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by cogno_eb2 | 2005-06-14 22:47 | ニュースコラム

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