地方議会の議員はムダ?   

 
民主党の前原誠司代表が政令市選出の道府県議について「ほとんど仕事がない。神奈川県議会の半分以上が横浜、川崎から選ばれているのはおかしい」などと不要論ともとれる主張を展開、時ならぬ論争に発展している。名指しされた神奈川県議会の「民主党・かながわクラブ」(田中肇団長)は13日「党再生が求められる中、不用意な発言は誠に遺憾。資質を疑問視せざるを得ない」と抗議申し入れを発表するなど、猛反発。一方で前原氏も同日、東京都内の講演で「仕事のない議員さんが神奈川県議会を構成している」と発言、譲らぬ姿勢を示した。(3/14 毎日新聞)


 前原代表も思いきった発言をしたものだ。賛同するか、反発するか。私の立場は基本的には賛同だ。

 ただ、観点が前原氏とは少し違う。

 前原氏は京都府議時代を振り返り、「府立高校、府警、一級河川。私に与えられた仕事は三つだけだった」と話したそうだが、事情を知らない人が聞けばその3つに関する事務や事業をやっていたように聞こえる。議員であっても事務・事業を直接執り行っているわけではない。高校の入試問題をつくるわけではないし、一級河川の護岸工事の現場で指揮するわけでもない。しかも「与えたれた仕事」という表現がおかしなものだ。議員は誰かに仕事を与えられて行うものではない。松沢神奈川県知事が「前原代表は京都府議として、何にも仕事していない方だったのでは」と皮肉ったというが、その批判は的を射ているようだ。

 地方議会は何をやっているのかさっぱりわからない。その意味では、人数が多すぎると思うし、政令市を減らせ、というのは感情的には理解できる。

 地方議会には、議員そのものの存在が疑われるほど、権限がない。知事や市長などの首長と二元代表制をとるというが、議会には議会の招集権も予算案の提出権もない。議会は議会の意思で議会を招集することができず、首長が招集すると決断して招集する、という形をとる。有権者の意向を反映して自主的に臨時会を開催することはできないのだ。

 そして、一番問題なのは予算の提出権がないということ。これは、神奈川県の場合、一般会計で1兆6千億もの税金を1年間でどのように使うかの予定を、議員自らプランニングできない、ということだ。首長がつくる、といっても一人で予算案を作れるわけはないので、当然のことながら行政職員が総出で積み上げるわけだが、これに対して議員ができることは“質問”をぶつけることのみ。「この予算は削ってこちらに付け替えるべし」というようなやりとりではなく「私はこのように考えるが、首長の考えはどうか?」と聞くだけ。その回答は、その場で既定路線を劇的に変更する回答があるはずがなく、事前に役人が用意した原稿を読む、という感じだ。

 代表質問や一般質問は議員にとっていわば「晴れ舞台」のようになっており、登壇することに意義あり、になっているように見える。予算委員会はさすがにもう少しつっこんだ話ができているのかな、とも思ったが、先日見た中継では、あまり代わり映えしなかった(議事録は公開されていないところが多い)。議員の持ち時間の総数で、一体1兆6千億のいくら分に言及し、いくら分を質したのか。とてもではないが全ての支出予定を確認できる時間は与えられてないだろう。ノータッチで議会を通過する分野、事業は相当数にのぼるのではないかと想像できる。

 議員の仕事は、次の議会で登壇する機会を得られたなら、その時にいかにかっこよく質問するかに関心が限られており、首長の回答によって事態を変えていこうということよりはむしろ、質問したことで実績とし、選挙に利用するような意識ではないだろうか。首長(実際は原稿を作った役人?)がどんな回答をしようがあまり関係なく、どうせ既定路線は変わらないのだから、というあきらめにも似た意識もないとは言えないだろう。

 こんな風に書くと地方議員センセーからはおしかりを受けるだろうが、であるならば、「所見をうかがいたい」ではなく、予算案の対案を示した上で質問してください、と申し上げたい。実際の数字の分析をせず、首長の所見を聞くだけでは議会のチェック機能は果たされていないと思う。有権者から選ばれて、代表として働いているのだから、議会の前に有権者の意向を吸い上げ、議会が終わったらその結果を報告する義務があると思うが、それをやっている議員なんて見たことない(あくまで私の周りで、だが)。

 まあ、そんな状況の地方議会だとして、さらに政令市の議員は何をしているのか、ということになる。我々の生活に身近な問題は、取り扱っている役所といえばやはり市町村だろう。都道府県と市町村では仕事を分担しているから、案件によって明確にどこが取り扱っているのかはっきり分かれている。市と県の両方が同じ仕事を持っていて、早く対処してくれるほうを選んで相談を持ちかける、ということはあり得ない。そして、政令市の場合は、県がやっていた仕事が移譲され、大部分が政令市に降りている。仕事そのものが市町村に存在しているというから、我々市民が、政令市が管轄している仕事に文句を言ったり何かを要求したりするには市会議員に言うことになる(議会が先述のとおりだから首長に手紙書いた方が早いかもしれないが)。そうすると、やはり、政令市選出の県会議員は何をやっているのか、ということになる。市民から遠い存在で、議会では首長の見解を尋ねるだけで、しかも県議会が権限を持ち事業を行える範囲は狭い、となると、毎日何やっているんだろう?ということになるのは事実として存在することだ。
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by cogno_eb2 | 2006-03-14 10:04 | ニュースコラム

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