予想以上に弱かった日本代表   

 予選リーグ1分2敗という惨憺たる結果に終わったドイツW杯の日本代表について整理しておきたい。
 
 この期に及んでジーコ監督の力量やら経験やらを問う声がもしあるとすれば、結果が出てからなら誰だってなんとだって言える、と言っておこう。もし監督一人で変わるなら、サッカーなんて簡単なスポーツだ。

 監督がどうだった、ということよりも、日本のプレースタイルをとにかく切り替える時期に来ていることは間違いないと思う。それは、「足もとからの脱却」だ。

 かつて、中田ヒデが代表デビューしたてのころ、誰もいない無人のスペースに強いパスを出して「キラーパス」と呼ばれたものだ。最初はそのスペースを嗅ぎ分ける味方プレイヤーが存在せず、ボールがむなしくタッチを割っていた。中田は「あの場面では走り込んで当然だろ!」といわんばかりのプレーで、回りのプレイヤーとは明らかに異質な思考の持ち主だった。

 あの「キラーパス」はいつの間にか陰を潜めてしまった。中田が「キラーパス」を出せる状況になくなってしまったのと(味方が追いつけずに明らかに敵にパスをするようなものだから)、パスを出す先が、明らかに足もとになってしまっている、チーム全体の意識が問題なのではないか。クロスもCKもそうだ。目標を確認して、そこにいる選手に出すから相手は守りやすい。インターセプトもできるし、体を寄せてヘディングの体制を崩させることもたやすい。

 逆に、守備の局面でも同じようなことが言える。相手の足もと、というか、ボールを取りにいっている。ボールを持った選手にわーっと3人くらいで囲みに行っている。相手はというと軽くはたいてフリーの選手に預け、ボールがくるくる回る。あの豪州相手であってもそういう場面が多かった。素人がやるDFの姿だ。

 これは明らかに意識を変えなければならない。攻撃では、どのスペースをついたら敵の陣形を崩せるかの意識、守備では、パスがどこに出るかを読む力、ここだけは絶対に突破されてはならない、という、ゾーンを守りきる意識だ。それがないから、攻撃では簡単に相手にクリアされ、守備では敵の動きにつられてマークを外し、決定機を作られてしまう。スペースの感覚を身につけなければならない。
 
 それから、緩急は個人でつけられる、ということだ。ブラジル戦を見て思ったのは、なんといってもボールを持った瞬間の速さ。急にトップスピードになってDFの寄せが一歩遅れる。だから止められない。日本は常に一定のリズムで走り回っている。というか、常に全力疾走。90分持つわけがない。その走り方も、「足もと」中心だから、ボールが次々とつながればそれを追いかけて走る。無駄な走りで体力の消耗が大きい。

 日本は直前になってもシュート練習をせざるを得なかったそうだが、どんな練習だったんだろう。ハーフウェーラインでロングボールをもらって、ワントラップからすぐ体制を作り、トップスピードに上げてDFをかわし、トップスピードのままシュートをうつ、という練習が必要なのでは?ただ蹴っているだけでは試合の状況にそぐわない練習で、あまり意味がないのでは。
 
 とにかく、緩急をつけながら攻めるところは思い切って攻める、という試合運びを学ぶべきだろう。
 
 昔、オフト監督が日本にもたらしたゾーンディフェンスの革新、私の記憶が正しければ、トライアングルを局面でつくって守る、というものではなかったか。その後、加茂・岡田体制は・・・何が特徴だったんだろ・・・。続いてトルシエがもたらしたフラット3。規則性のある最終ラインの統率で、オフサイドをとって敵をゴールに近づけない。そしてジーコの創造性。これらの監督のもとで全てプレーした選手は当然いないのだから、積み重なっているはずがない。今の日本代表は急に創造性を求められたのではないか。
 
 創造性は、中盤の選手にはある程度浸透したかもしれない。中盤と一口に言っても語弊があり、むしろ攻撃的MF限定かもしれない。ボランチとDF、ボランチと前のMF、このあたりではずっと意識あわせの激論があった。FWはあきらかに創造性が乏しかった。嗅覚とも言われる得点感覚に優れた選手がいなかった。DFは相手の動きにつられて手痛い失敗を繰り返した。
 
 この教訓は是非とも日本サッカーに蓄積させてほしいと思うが、今大会を経験したプレイヤーは年齢のピークを迎えており、世代交代が一気に進み、蓄積できるのか不安だ。もちろん、次の監督がそのあたりを熟知した指導をしてくれるならひとまず安心だが。
 
 その次の監督は「世紀の失言」からするとジェフのオシム氏らしい。考え、賢く走るサッカー。当然、選考基準は走れるヤツ。いくらボールの扱いがうまくても、走れない選手は呼ばれない。その意味では、日本サッカーは変わるだろう。クラブチームと代表は違うが、という言葉を耳にするが、走れないヤツを代表合宿で走れるように特訓する必要はなく、要は走れるヤツを呼べばいいのだ。スペースの感覚に優れ、オフ・ザ・ボールの動きがしっかりできる選手。攻撃の飛び出しやつなぎもそうだし、守備のカバーリングもそうだし、スペースの嗅覚に優れた選手を集めることで面白いサッカーが期待できるのではないか。

オシムってどんな人?という人はコレ↓を読もう!




 新しい監督の就任と世代交代。新しいコンセプトのもとであれば、アテネ世代がそのまま、というわけではないだろう。でも、アテネ世代の有望株としては、オランダで成長を見せた平山、フランスで活躍中の松井、A代表に呼ばれた浦和の長谷部。そしてカー娘小野寺クリソツの阿部。髪が短い方が断然似合っているトゥーリオに手の短い駒野だっている。なかなかキャラはそろっている。これらの選手がどれほどオシム監督の構想に合っているかはよくわからんが、次の代表の顔ぶれがどうなるのか非常に楽しみだ。今の日本にはヒデが6人は必要。一人では戦いにならんのだ。

 次の日本代表は、王者ブラジルがアジア王者日本を余裕で退けたように、ファウルの汚い中国や、敵意むき出しでボールより体当たり上等の韓国、とにかく引いて守ってくるシンガポールなどのサッカー途上国、スタンドから変な音楽がずっと流れている中東、次回からアジア入りの、高さとロングボールの豪州などを、余裕のよっちゃんで退ける力をつけてほしい。敵はアジアではない。アジアのサッカーで苦戦しているようでは話にならない、という圧倒的なアジア杯優勝、そしてW杯予選突破をし、欧州や南米の強豪とガチンコ勝負することがモチベーションになっているようなチームになって欲しい。「あんたらは敵じゃないんで」っていうなめた意識でも勝てるように。全部が必死で体力使い切る、みたいな、特攻隊精神っぽいのはいらないのですよ。日章旗ハチマキの特攻隊とロナウジーニョみたいに笑顔があふれる創造的なプレーとでは、どっちが見たいですか?

 え?前者?あっそ。
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by cogno_eb2 | 2006-06-26 10:37 | サッカー

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