強行採決に思うこと   

 昨日私が書いた記事にトラバしてくれたあざらしサラダさんの記事を読んで、感じたことを少し書きます。

 まず、私が昨日書いた記事に(怒)マークをつけたのは、強行採決をした、ということよりも、自民も民主も選挙しか視野に入っていない、ということに腹が立ったからだ。

 私の考えでは、委員長席に野党が走っていって詰め寄って、委員長の発言を物理的に封じ込もうとする、いつもテレビで流れるあの光景は遅かれ早かれやってくる状況だった。報道によれば、質疑が終わった後の採決で、民主党は大量の若手議員(なぜ若手?やっぱ体力?)を委員会室へ乱入させて、テレビカメラの前で乱闘さわぎを起こそうと考えていたようだ。

 自民党が社民・共産・無所属の質問をさえぎったのは、その動きを察知してウルトラCの手を打ったらしいが、議会のルールで「動議」というやつを発動して、承認されればその「動議」が通る、ということで、一応形式的にはルール違反ではない。もちろん、道義的にどうかという疑問は残るが。

 「動議」を起こして時間切れをはかり、審議未了廃案に追い込む、という手は、野党が得意とする戦略で、委員会に限らず本会議でもしばしば使われる手だ。今日も「不信任決議の動議」やなんかで本会議は大荒れになるだろう。言ってみれば、与党が野党の常套手段を逆手にとった形だ。

 委員会室へ委員でない人間を投入してテレビの前で乱闘騒ぎを起こして視聴者にアピールする作戦をとろうとした民主党の浅はかさと、ルールに則っているものの、道義的に問われうる強硬手段をとった与党の力技の、両者に嫌悪感を感じた。

 さて、問題はどこにあるか。あざらしサラダさんがこう書いている↓

先の世論調査でも、国民の7割が廃案を望んでいるにもかかわらず、野党の質疑も打ち切って数のみの理論で強行可決する。
 これが、本当に民主主義国家のすることだろうか?


 日本は議会制民主主義である。議会は多数決原理だ。先の選挙で国民が選択した与党によって進められている今回の一連の動きは、形式合理的には国民の信任を受けていることになる。直接民主制ではなく間接民主制であるが故に、世論調査などの国民の反応(世論調査はあくまで反応でしかない→国民は対案を出していない→ムーブメントを起こそう!)を政治に組み込むかどうか、つまり、反応が悪い場合は修正するかどうかは、与党が判断することであり、世論調査で好ましくないという反応が示されても、与党が「いける」と判断すれば突き進むことができる。これは間接民主制の論理からすれば至極当然のことだ。

 したがって、あざらしサラダさんのいう「民主主義国家のすることだろうか?」という疑問には、残念ながら「議会制民主主義のもとでは何ら誤りではない行為だ」といわざるを得ないのが現状だ。私は直接民主制を取り入れるべきだと思うし、議員内閣制から大統領制に移行することも一つの手だと思う。

 国民の声に耳を傾けないという意味では、今の日本こそ、限りなく独裁状態に近づいていると思えてならない。

 あざらしサラダさんの言うように、そのような捉え方はあると思う。ただ、国民の声を聞くという行為は選挙という手段で確保されていると考えるのが現行の治世システムだ。そのシステムのもとでは、「国民の声を政治に取り入れる」という行為を、どのように具体的な手段として具現化するかが重要になってくる。

 さて、あざらしサラダさんの記事にトラバされていたミズタマのチチさんの記事にも行ってまいりました。

役所、農協や漁協、労組、宗教、経済団体や業界団体、思想団体、地方の経済圏。
ざっとこんなところだろうけど、議員は基本的にここに損害を与えず、さらに利益誘導できたら次の就職も安泰です。

だから、このどの団体にも属してないひとは、何か思っていても、それを汲んでもらえない。意見を吸い上げて政策に反映してもらえないんです。


 実は社会学の研究の中で、私も全く同じ関心をもち、かなり突っ込んで研究したことがある。私も同感だ。やはり、社会統治のシステムは、こと日本に限って言えば、限界に近づいているのではないか。


あと残りの議員は比例代表マジックで復活した人。
(あれも変な制度です。議員失格といわれたのに、政党が民意と関係なくスカウトして議席に座らせるのですから)


 おっしゃるとおり、こんな馬鹿げた制度がまかり通るというのは、ありえないことだと思う。小選挙区で落ちた人間が復活するなんて。


ちなみに、僕はどこにも属してませんが、こういう連中でも政策決定の場には影響力を及ぼせるようなしくみとして、大統領直接選挙みたいな制度か、ネットからの直接投票を議決数に入れるとか、いまの代議員制度以外の勢力が要るんじゃないでしょうか。


 社会統治のシステムを再考せよ、というのは私もそのとおりだと思う。

 今回の厚生労働委員会採決の事件を考えると、まずは、法案成立要件を過半数の賛成から全会一致の賛成へ変更することも手だと思う(もちろん、弊害はいろいろと考えられるが)。

 なぜなら、今回、政府が提出した年金法案は、実質的な審議が一切行われなかったと言っていい。それは、民主党が未納問題ばかりとりあげ、首相に責任があるだの謝れだの、法案の中身ではなく、未納問題の質問ばかりしていた。これは、「廃案に追い込む」という決定を民主党がしたからで、法案の中身を審議して、政府から譲歩をとりつけ、妥協の中にも自分たちの案を入れ込んでいく、という作業が全く行われなかったからだ。

 衆院で未納ばかりが話題になった結果、衆院通過後に「一元化を検討する」という三党合意を行ったが、これは審議の場ではない、場外の約束だった。

 参院に回って良識の府らしく法案の中身を審議するのかと思ったら、民主党は相変わらずだった。

<年金法案>未納政局に終始、本質論議かすむ

 私は政府を一方的に擁護するわけではないが、政府は厚生労働省の案に与党の味付けをして、内部で審議して案を出した。これに対して反対する勢力は中身で審議を挑んでこなければ、法案を出した側からすれば逆に審議する余地がないのだ。

 社民党は対案を出せなかったし、共産党案はまるで対案の体をなしていないし、
民主党案
は抜本改革から程遠い&スウェーデン方式の一部を真似たものでたいしたこと無かった。こんな状況では、野党はパフォーマンスをするしかないでしょうなぁ。このパフォーマンスに視聴者が本質から離れた議論をしなければよいが。

 今回の問題は非常に多くの論点を包含するのでなかなか難しいが、私的には、年金制度は5年に一度見直しをすることになっており、その意味では今回の法案が向こう数十年間の確定ではないので、次の本格的な審議を期待したい。今回の改正は、現行制度のままだと確実に破綻するという厳しい状況をどう回避するか、という点で、現行制度のマイナーチェンジになったわけだが、次の5年間は、今回、破綻を回避するマイナーチェンジを施した上で、再度抜本的な改革の論議を国民を交えてしっかりやることが大事だと考えている。

 そのためにも、「年金法案見直しムーブメント」に期待する。
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by cogno_eb2 | 2004-06-04 11:20 | ニュースコラム

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