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年金の議論を台無しにするな   

山口さんのところで興味深い記事がありました。

 『週刊現代』の「年金がパーになる」という見出しの記事についてです。詳しくはうちでは書きませんが、タイトルでは、まるで「将来破綻するから払い損になるぞ」という内容に見えますが、実際は負担が増えて給付が減る、という当たり前のことが書いてあったそうです。

 三流週刊誌とタブロイド紙の報道はほんとにひどい。嘘は平気で書くわ、覆面座談会やら匿名の「関係者」やらが登場するわで、なぜこんな情報にカネを出すのか理解ができないメディアだ。

 狙いは、山口さんもおっしゃっているように、年金の危機を煽ることで与党にダメージを与えようとしているのでしょうが、こんなネガティブキャンペーンにのっかる有権者がいるなら、この国はどうしようもなくレベルが低いとしか言いようがない。

 電車の中でこれ系の雑誌や新聞を熱心に読んでいる人を見かけますが、給料がどんどん下がる中、こんなものにお金を使っているのかと思うと哀れになってきます。

 何かあれば「言論の自由」と大ミエをきるこの手の媒体は、買うから存続するのだ。ブログの力でどこかの三流週刊誌を廃刊に追い込めないですかねぇ。

 彼らに言論の自由を再度教えて差し上げようとする気すらおこらない・・。

 日本は高学歴社会だといわれて久しい。大学への進学率はかなりの高さだと聞いてます。しかしながら、学術に触れたことのある人なら、情報の精度に対する厳格なまでの姿勢を知っているはずですよね?一定の自分の見解を述べようとすると、根拠を示すことはもちろん、反論するにも同意するにもその対象となる情報の根拠にさかのぼり、自分の根拠を示して自分の論理を示すもの。

 しかしながら、その厳格性よりも興味本位な感情の吐露が勝ってしまうのは、大学教育が失敗しているということでしょうか。それとも日本人の特性なのでしょうか・・。

 2ちゃんはもとより、各種HPやブログ、そして三流メディア・・。冷静に考えれば論理として成り立っていない言論が氾濫しています。

 年金問題を例にとれば「年金改悪に反対します。保険料を引き上げ給付を減らすのは言語道断」(→昨日の帰り道で、駅頭で共産党がこう叫んでいた)、はぁ、そうですか。じゃあ、共産党にお願いすれば、保険料は今よりも下がって、給付は今よりも増えるんですか?現行制度でいくと破綻するのは目に見えていて、それを何とかマイナーチェンジして存続させようとしたんでしょ?

 共産党のいうバラ色の年金制度は、改正年金法を廃案にして、次はどのような制度にするつもりなんですか?それを言わなければ、あなた方共産党が言う「廃案」にする必要性それ自体が検証不能じゃないですか。あなた方の案は、私のブログでばっさり斬っておきました。

 財源はまた「官僚の無駄遣いを削減する」ですか。言葉がありません。これは日本国の社会保障制度全般の問題ですよ。もちろん税制もです。あなた方の考えは対案にすらなりえてませんが。

 また、民主の衆院議員やまのい氏は、年金法を廃案にするために7月11日に(民主党)へ投票しよう、とブログで言ってます。そうすれば「7月11日に国民の手で年金改革法を廃案にすることができます」と言ってます。やまのいさん、今回の選挙は改正年金法の信任投票ではありませんよ。

 いまや多くの有権者は「一元化」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。今の制度はダメで一元化しなくてはならない、というのが民主党ですが、私は国民年金の納付率が低いままで一元化されることに反対です。

 私たちサラリーマンは、就職してから給与天引きで払い続けているんですよ。国民年金の納付率が悪くてお金が足んないから、厚生年金や共済年金からお金を回そうとして1階部分を一元化しましたよね?(→基礎年金)これで解決したことはといえば、基礎年金の給付を、これまで他の年金財源だったカネをまわして、なんとか払ってきた、ということだけじゃないですか。

 今後2階建てより上の部分を完全一元化することで、またその場しのぎをやるんですか?その前に基礎年金の納付率を上げて、厚生年金や共済年金に迷惑をかけない水準まで引き上げた上で一元化しても遅くないんじゃないんですかね?

 やまのい氏は7/11の投票で年金法を廃案にする勢力を結集するみたいなこと言ってますが、廃案にした後どうするの?空白期間作れないでしょ?対案は持っているの?

 私はまだ検討途中ですが、賦課方式・給付建てを見直す、抜本的な改革が必要だと考えています。民主党は賦課方式・給付建てをやめる用意がありますか?一元化という漢字三文字だけでは安心して民主党に任すことはできませんよ。

 それにやまのい氏は出生率データの問題を取り上げていますが、冷静に考えてみてください。

 これまで厚生労働省が発表してきた出生率データのうち、今後の予測に関する部分は当たったことがないんですよ。出生率の数値は常に下方修正をするのですが、今後の予測は常に緩やかな回復の曲線を描いているんです。これまでアンタたちが発表してきた数値を定規でひきなさい。回復する根拠あります?甘い見通しなんて今に始まったことじゃない。

 今後もおそらく低下するでしょう。低下させないための少子化対策を講じる必要があり、年金問題とはワンセットなんです。賃金上昇率もセットにしなくてはならないし、金利も重要なファクターです。そう考えると、社会保障・少子化対策・経済政策・税制という広範囲な問題になるんですね。

 私はことの原因は、現役世代が高齢者を支えるという賦課方式そのものに問題があると考えています。自助努力を促す積立方式・拠出建てでいいんじゃないですか?少なくとも、出生率の低下というただ一点のみで大騒ぎするような簡単な問題ではないと思いますが、いかがですかね? 

 賦課方式のままいくなら、せめて私が年金をもらうときは、現役世代がわんさかいてください。そうすれば足りるでしょ?でもそのわんさかいる世代が高齢化したとき、それをささえる現役世代がもっとわんさか必要になるんですよ。方式自体が純粋なピラミッド型の人口構造を前提としているので、もはや賦課方式はムリなんですね。一元化するかしないかの問題じゃないんですよ。

 やまのい氏は「今国会は年金制度の信頼を失わせるだけだった」と言ってますが、現行制度のままでいくと向こう2年間で2兆円の赤字を作ることを避けた、というデータがあるそうで、それだけでも大きな前進だったと私は考えています。

 こうやってみると、政党ですら論理が成り立っていない情報を発信しているようで、残念でなりません。山口さんのおっしゃるとおり、年金問題を台無しにするようなことだけは慎んでいただきたいですね。

by cogno_eb2 | 2004-06-30 12:34 | 年金問題考

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