道州制などできっこない   

 道州制など夢のまた夢だ。国に通貨や外交などの機能を残し、内政の大部分を道州に移した場合、まず、国会議員の地位が低下する。今のように多くの国会議員を輩出する必要がなくなり、定数は大幅減になるだろう。同様に、各省庁の規模も大幅に縮小する。これは出先機関のみの問題ではなく、本省の職員数も激減するだろう。なぜなら、法律で根幹は定めるが、実際の施策は道州が個性を発揮して個々に行うから。そうなると、国会議員の抵抗と、省庁の激しい抵抗が生じることは容易に想像できる。

 地方分権の第二次勧告を取りまとめる過程で、各省庁の回答はほとんどが「国で実施することが適当」だったそうだ。議事録を読めばわかるが、ヒアリングを受けた役人は判を押したように省庁の存在意義を並べ立て、丹羽委員長は、役人はやらない理屈をこねる天才だと皮肉ったそうだ。
分権ですらこの有様で、道州制が導入できるはずがない。

 仮に道州制ができたらどうなるか。東京を単独にしない場合、関東州と呼ばれる地域の有権者数はゆうに2000万人を超えるだろう。2000万人がたった一人の州知事を選出する。当選したら4年間ある意味野放し状態だ。どうやってこの強い権限をもつ一人をコントロールできるのだろうか。
議会に期待するのか?いやいやいや。現在の地方議会を見ると、コントロールができるとはとうてい思えない。議会質問はだいたいが「~と思うが、知事の所見を伺いたい」という感じで「考えをおしえてちょーだい」と言っているようなもの。通告制度というのがあるので、事前に質疑の調整はついてしまっている。一問一答の丁々発止に議会改革をしないと、デキレースをしてるだけ。議会には議会の招集権もなければ予算の提案権もない。知事+役人集団有利にできているのだ。

 こんな現状で道州制になったらどうなるか。陳情の先は、まずは巨大な権限を握る州知事。もう、国会議員は相手にしない。次いで、州議会議員。議員はデキレース議会をやってるだけだから期待できないかと思いきや、実は、議員を使って役所にねじ込むのに使えるのだ。州の議員から州庁へ、あるいは市町村へ。結局、一昔前の議員の役割(ご用聞き&役所への圧力)が復活するのだ。

 道州制ビジョン懇談会座長であるPHPの江口氏は著書の中で、地方分権を進めてもダメで、道州制に移行するしかないと言っている。現段階で考えられる道州制のデメリットは、そうならないようにこれから制度設計するんだと、バラ色道州制論を唱えているのだが、省庁が権限を手放すか、国会議員が自分の地位低下に賛成するか、については記載がない。

 また、現在の道州制論で気になるのは、道州に分けた場合、身の丈にあった生活をせよ、それが各地域の個性でもある、と言っているようにも聞こえる。財政調整機能があってはじめて成り立っているような財政がヤバイ県なんてたくさんある。人口減少による税収減、産業の衰退による税収減、高齢化による行政コストの増大・・・。一つの県でやっていけないから周辺の県をくっつけて州にしようとしても、赤字県がいくつ集まったって赤字は赤字。赤字州は赤字なんだから「欲しがりません黒までは」という住民教育をしていくしかないだろう。住民を強制的に一つの県に移住させ、行政コストを削減するなんて政策がとられるかもね。

 財政調整機能を残して、裕福な州から赤字州へカネをスライドさせるなら、別に今の都道府県制度と変わらないし、国に配分権を残すことで中央集権は打破できまい。道州制なんかできっこない、と思う否定論者に対し、道州制論者は、もう少し詳細な制度設計を示す必要があろう。このままではヤバイ、と危機感をあおるだけでは弱すぎる。と同時に、大きなお世話ながら、区割りばかりに目がいってしまう国民には、もっとよく考えた方がよいと忠告したい。


ブログ意見集 by Good↑or Bad↓ 道州制と地方分権改革

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by cogno_eb2 | 2008-12-10 22:09 | ニュースコラム

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