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民主党マニフェスト:年金改革にもの申す(1)   

いつものように、マニフェストの三つの前提から確認していきます。


【前提1】現状認識とそれに基づく必要施策の明確化
 柱となっている考え方は、消えた年金問題の解決と一元化。

 実は民主党は5年ほど前から年金制度の抜本改革を主張し、その案を持ち合わせているのだが、今回の公約は与党の失点を攻撃することに特化した感がある。一元化については、低納付率にあえぐ国民年金&債務超過の厚生年金と、全員が給料天引きの国共済・地共済との不公平感をあおってますね。まあ、民主の現状認識がそうだから、必要施策が明確といえば明確に値するかなぁ・・・。持ち合わせている案が全面に出てきてほしかった。

【前提2】個々の政策について、その目的と実施方法、期限、財源などの指標の明確化
【前提3】数値目標
 時限を切っているのは、照合作業を2年間集中的に行うとあるだけで、2年間ですべてやり遂げるという目標ではなく数値目標がない。また新たな制度に関する法律をH25年に制定するとあるが、流用禁止法などその他の項目は実施時期や時限を切っていない。不十分と言わざるを得ない。


当ブログで再三指摘してきたように、年金給付の原資が流用されてしまうのは、法律の中にわずか数条ある文言を根拠とされてきたからだ。あれだけ流用が問題になっていたにもかかわらず、その条文の改正を行ってこなかったのは、そこまで力が入ってないからだろう。でも、「政権をとったらやります」というのはどうなんでしょうねぇ。議員提案で修正法案を出せなかった理由が知りたいですねぇ。今回のマニフェストでも、いつまでに流用を禁止する法律を作るかは書いてありませんねぇ。

ここから、長い話になるのですが、民主党が持ち合わせている新制度案を検討しないと、このマニフェストだけでは判断できない大きな問題があるのです。その案を伏せたまま、有権者受けするように小出しにしている印象があるので、過去に年金問題を展開してきた当ブログとしては、新制度案を検討してみたいと思います。

ちなみに、小出しにしている、というのは、年金通帳です。これは、自分が払った分が明確に記録されるというシロモノですが、実は、新制度案の「見なし掛金」制から出てきているモノなんですね。マニフェストでは一切語られていませんし、民主党HPでも制度概要については掲載されていません。

また、一元化についてですが、新制度案は現行制度のリニューアルではなく、別個に制度を作り、その制度が職業で分かれていない単一の制度だと説明しているので、現行制度の不公平感をあおって、現行制度を一元化するのではないことに注意しないといけないんですが、そのあたりは明らかになってませんね。現行制度は過去債務の凍結をすると言っているので、これが制度スタート時の受給者で線引きするのなら、新制度加入者は受給者以外の全員なんですが、そうは言ってない。食い違っているんですよ。おそらく、党内でもまとまってないんだと思います。だからマニフェストでは制度設計を公約としたんでしょうね。

最新の情報としては、言論NPO 自民党×民主党 政策公開討論会 で民主党の枝野議員がその案について語っているので、それをもとに検討していきたいと思います。

民主党マニフェスト:年金改革にもの申す(2)につづく

高速道路無料化にもの申す
自動車関連暫定税率の廃止にもの申す

by cogno_eb2 | 2009-07-31 20:07 | 年金問題考

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