民主党マニフェスト:年金改革にもの申す(4)   

積み立て方式というのは、「年金」の名を冠する以上、不可能だと考えられているらしいです。年金制度の研究者の間では、賦課方式の制度が常識なんだそうです。

確かに、自分が月々積み立てた金額をいくら運用しても、老後の何ヶ月分の生活費になるか、しれたものかもしれません。

でも、現行制度の賦課方式であっても、給付金の国庫負担割合を高めていかないと制度が持たないということなので、結局、払い込まれた掛金と税金を原資としているので、完全なる世代間扶養ですら実現していないわけですね。

ということになると、積み立て方式であろうと賦課方式であろうと、純粋に掛金だけでは給付総額に足りないことは変わりないということです。積み立て方式でも、結局は税金を入れないとダメなのでしょう。どちらの方式でも、結局年金の原資で給付額をまかないきれないのが共通ということになると、その違いは計算方法、ということになります。

賦課方式では、給付水準は人口推計を中心に考えるので、今後、現役世代の負担増&給付額の抑制というダブルパンチが続きます。一方の積み立て方式は、掛金の運用なので、人口構成の影響は受けませんが、将来の給付は保証されてはいない。

積み立て方式のリスクは、将来の給付が保証されていない事に加え、あと3つほどあります。純粋な掛金の運用では、制度当初の運用原資が少なすぎて利益を出しにくいということと、日本版401Kの運用失敗の例もあるように、投資を失敗すると元本割れする、さらには、運用結果が老後の生活費としては十分でない場合が生じるということ。

この問題を解決するために、「見なし掛金」制というのがあり、「スウェーデン方式」と呼ばれ、有名です。

簡単に言えば、運用利回りをその時々の経済水準で算出し、自分が拠出した掛金がその利回りで運用された、という記録をつける、というもの。従って、将来もらえる金額が補償されているものではありません。拠出建てですから、いくら払ったから、いくらもらえる権利がある、ということ。

「見なし」というのは、その記録を残していきながら、実際に掛金として納付されたお金が100%運用に回るわけではないということです。ですから、「運用に失敗したのでおたくは赤字です」ということは避けられる。「見なし」のメリットですね。

今の制度は、「いくらもらえますよ」という約束を最初にしてしまうので、「掛金を積まなければもらえる資格はないよ」という話になりますが、拠出建てになると発想が逆になります。25年で権利取得、ということではなく、払った分は老後にもらえる、ということなので、払わないと自己責任、ということです。

民主党の案も、基本的にはこの方式をとっているため、年金手帳を配ります、という公約になっているんですね。

ここまでお読みいただければお分かりかと思いますが、払う側からすれば、個人勘定をつくって拠出建てにしたほうが、明快なシステムになりそうだ、ということです。

ただ、掛金の設定はどのようにするか、という問題があります。給付建ては将来もらえる金額を保証するものなので、そこから逆算すればいいのですが、拠出建てで老後の受給額の水準を満たそうとする場合、掛金は所得に対してどのくらいの割合になるのか。

民主党は所得比例年金という言い方もしていたようですが、はたして所得の何%を掛金とするのか。その計算方法はどういったものか、さらに、その見直しはどういうタイミングで行うのか・・・。
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by cogno_eb2 | 2009-08-05 23:08 | 年金問題考

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