選挙制度改革が必要ではないか   

 衆院選が終わった。民主の圧勝で政権が交代した。

 前回の小泉郵政選挙のまったく逆の状況が生まれたわけだが、両方の選挙に共通なのは、「若い女性の刺客候補」「論点の単純化」「メディアの後押し」だ。

 「論点の単純化」は、言わずと知れた、「政権交代を望むかどうか」という一点に絞られたこと。前回は「郵政改革に賛成か反対か」の一点だった。だから、どのような候補者を自分たちの代表に選出するか、という選挙本来の機能はまったく失われ、政権交代に賛成か反対かの国民投票だったと言って良い。見方を変えれば、候補者ではなく民主党を推したという意味で、小選挙区であっても政党を選ぶ比例選挙の様相を呈したとも言える。これは、小泉郵政解散の時も全く同じ構図だった。

 「若い女性の刺客候補」という点も共通している。論点の単純化は、候補者の資質・素性は表に出にくいから、一週間前までビラ配りのスタッフだったという人が、実質の比例化に伴って当選してしまう。民主党の看板を掲げていれば、中身が社会主義者であっても当選するのだ。この現象の中にあってさらに話題をさらう戦略が「刺客候補」だ。相手の組織票を上回る浮動票を獲得するために、徹底的なイメージ戦略に出るわけだ。

 イメージ戦略の代表的な例は、元長野県知事の田中氏が勝利を収めた選挙区だろう。有権者は、議席をもっていない「新党日本」に、その代表の田中氏に本当に期待して投票したのだろうか。結果として新党日本は議席1となったわけだが、民主と連立するといった声もなく「たった一人の戦争」になるこの人が、有権者は改革の起爆剤になると思ったのだろうか。このケースは、小選挙区の比例選挙化ではなく、単なるイメージ選挙の好例である。

 自分たちの地域代表を国会へ送り込むというタテマエはあっても、実際には政党を選ぶ比例選挙に陥っている現実があるなら、すべて比例代表にすればいいのではないか?そして、比例候補者選びは各党で予備選を行って、有権者はそれに参加する。党員やサポーターという地位を得て投票権を獲得し、予備選で支援する党の名簿搭載者を選ぶ。そうすれば、その党がどういう候補者を戦力と考えているのか、その考え方に触れることができる。世襲制がダメだというなら予備選で落とせばいいわけだし、世襲でも能力が高いから支援に値するとなれば名簿に登載される。自分たちが人物を見ながら自分たちの代表を送り込む。今のメディア選挙よりもよほど民主的だ。

 民主党の岡田幹事長は、小選挙区&比例代表の現在の制度から、比例の議席配分を少なくすることで議員総数を減らすと言っているそうだ。私の考え方とは逆の方向を向いている。国会改革なら議員の給料を減らせばよい。安定多数を手にした今、すぐにでもできる改革だ。給料だけで年間2千数百万ももらっているなんて、少しは自分たちも不況の痛みを分かった方がいい。

 かつて中選挙区から小選挙区へ制度変更した理由が二大政党制の実現だった。二大政党制に移行する過渡期を1996年から10年あまりにわたって経験してきているわけだが、二大政党を作るには、争点を単純化し、メディアに乗せて、女性刺客を放つという戦法が確立された雰囲気がある。この間、有権者は見事なまでに考える力を失ってしまった。重複立候補という、敗者復活の制度もよろしくない。負けたという結果は民意なのに、復活して国会議員になるというのは民意を反映していない最たるものだ。

 今の制度はよろしくない。いっそのこと、先の提案のように、予備選&比例にして二段階選挙にしたらいいのではないだろうか。
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by cogno_eb2 | 2009-09-01 21:52 | ニュースコラム

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