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マニフェスト選挙とは聞こえがいいが   

 私はマニフェストには懐疑的だ。

 私にとってマニフェストが身近になったのは、神奈川県知事選挙。地方の首長選挙でマニフェストを掲げた草分け的な存在が現知事の松沢氏だ。このとき思ったのが、「これはいいけどあれは賛成できない。でも掲げて当選したら絶対になるんだろうな」。

 美辞麗句で飾った実現可能性も事後の検証もしてこなかった旧来の「公約」よりは確かにいいのだろうが、マニフェストに記載されている内容が万般にわたるため、すべてに賛成、ということには決してならないのは自明だ。

 民主党のマニフェストにある「高速道路の無料化」。政権の支持率が70%に迫る高水準なのに対して、ある世論調査では75%の人が反対している政策だ。

 50数箇条にも及ぶマニフェスト上の政策の柱。これを掲げて政権をとったからといって、すべてを承認したわけではないことを、有権者はどのように政権に訴えていけばいいのか。

 そもそも、本場英国では、次の選挙まで、有権者とやりとりをしながらマニフェストを作っていくという。それに比べれば、日本におけるマニフェスト選挙は、地方も国政も、「候補者が勝手に作った約束」だ。八ッ場ダムの建設中止も、地元の意見を確認することなく、候補の擁立も社民党にやらせて、政権奪取後は「公約だから中止」というのは、あまりに乱暴ではないか。

 加えて、今回の民主党マニフェストで決定的に欠落している点は、すでに指摘されている「財源の明示」「無駄削減の具体的な中身」に留まらず、「これまでの国の政策を転換せねばならない必要性」が欠落している。

なぜ時限措置の高速1,000円の政策がダメだから、恒久的無料化するのか。
なぜ現行の児童手当制度がダメだから、子ども手当制度に変えるのか。
なぜ後期高齢者医療制度がダメだから、廃止するのか。
なぜ、年金は一元化する必要があるのか。  etc・・

 マニフェストには「○○します」とは書いてあるが、「なぜ」の答えが書いてない。

 日本に根付いていないマニフェスト選挙。マニフェストを書く方も素人だし、それを読む有権者も素人だ。「公約の重み」だけが増して、達成することが自己目的化する。有権者と共に作り上げたのなら、達成することは責務だが、勝手に書いた内容なら、今後有権者の意見を取り入れて内容を修正する機会が与えられてないと、権力者の横暴となる。

by cogno_eb2 | 2009-09-28 22:30 | マニフェスト

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