アテネ五輪総括 野球編   

 野球が銅メダルに終わった。今回はじめてプロ選抜のチームだっただけに、金を狙い、また我々も期待していた。

 野球はやはり北米大陸のスポーツだとあらためて思った。キューバはまあ別格として、それ以外のチームは皆アメリカのマイナーリーグに所属するプレイヤーを主力としていて、それ以外の選手はなかなか出場できない。たまたま日本対ギリシャ戦を見ていたが、ギリシャの地元のチームでプレーする投手が登板し、打者2人にフォアボールを出してベンチへ引っ込んだ。

 日本は日本のプロリーグで活躍する優秀な選手を選抜してチームを編成したが、本場アメリカの野球を経験している選手はいない。いくらプロ選手といっても、所詮は国内リーグの選手、ということか。日米野球での力の差を考えると、やはりアメリカ大陸の野球とは力の差があるのかなぁ。
 
 サッカーでは海外組偏重とかなんとか騒がれていることとだぶった。日本の球界も、国際レベル(←といってもアメリカレベルなんだけどね)を意識していかなくてはならないのではないか。

 取得まで長いFA制度の弊害で、メジャーリーグに挑戦できるのは盛りを過ぎた年齢になってしまう、というのでは、有望な選手の未来をつぶしてしまうし、野球の道での最高峰が国内リーグで止まっていて、ほんの一部の飛びぬけた選手でしかも年数が経っている選手しか本場へいけない、というのではなんとも閉塞感がただよう。

 サッカーでは全盛期のプレイヤーをカネで集めるのはレアルくらいで、今は若手有望株を安く雇って育てて高く売る、という風潮にあるから、若い選手の前途は、野球に比べて大きく広がっているように見える。野球界もちびっこファン離れ(なりたい職業ではサッカーが野球を上回る)の原因を、球界全体の問題としてしっかりとらえないと、衰退は明らかだと思うが・・・。

 また、一部報道では、「監督不在でも勝てると考えていたのなら甘すぎる。長嶋氏が出場困難となった時点で、中畑ヘッドコーチ以下、監督経験のない人物のみとなってしまった。星野氏を監督につけるなどできなかったか」と、代表チームの指導者について指摘するものがあった。サッカーでは監督になるにはライセンスが必要だ。野球にはライセンスはない。経験と実績のみ。その意味では今回の代表チームのコーチ陣は勝つための編成ではなかっただろう。敵チームの情報収集もあまりやっていなかったようだし、勝つことに対する準備は万全とはいえなかったのではないか。

 果たして、コーチ陣の経験が浅かったからこのような結果となったのか?という疑問もある。中畑氏らコーチ陣が今さらなにを指導しようが、もはや完成されているプロのプレイヤーたちが集まったのだから、技術的な指導という上積みは期待できないだろう。あとは戦術ということだが、野球は至ってシンプルなスポーツで、相手ピッチャーを打てなかったら負け、守備でミスをしたら負けにつながる。監督の出番は選手交代くらいか。あとは各選手がこれまでの経験を生かして、「このピッチャーはあのチームのあいつに近いからこう打とう」といった工夫に任されていたのかも。結局、団体スポーツなのに個人に委ねられていた側面があったのでは?

 また別の報道には、「選手たちのモチベーションが上がっていなかった。オリンピックでいくら活躍しても年俸にプラス査定されるわけでも無し・・」というような記事も。まあ、おカネについて選手がどう捉えていたかはよく分からないけど、いくら谷の嫁さんが出場するからといってチーム総出で応援に駆けつけるのは、ちょっと違和感があった。他の競技ではぎりぎりまで自分を追い込んで、集中しきって本番の試合に臨んでいただろうに、こと野球代表に関してはその意識が足りなかったのではないか。「どうせ相手はアマチュアチーム。いたとしたってマイナーの3Aまでだから。俺らはプロだ。」という妙な空気はなかったか。

 モチベーションという点では、サッカーとは大きく異なる。サッカーはW杯が最高の舞台だから、オリンピックはあまり力が入ってない。そんな状況でありながらも、23歳以下で編成される若いチームにあって、「世界中のスカウトにアピールする絶好のチャンス」というモチベーションが高まるのだ。

 さらには、「日の丸を背負って」という経験が、断然違う。プロ野球の選手はその重みにピンときていないだろう。野球には国際大会が存在しないし、だいいち、世界スポーツではないのだ。そして、代表のユニフォームを着るには熾烈な競争に勝たなければならない、勝った選手で構成されている、というチーム編成ではないし。

 別にサッカーとだけ比較しなくても、陸上でも、競泳でも、柔道でも、熾烈な競争と実績(世界大会や記録)というシビアな選考と比べれば、野球代表の「ぬるさ」が分かるだろう。

 野球には、世界という視野が欠けている。今回のアテネでの戦いで、このあたりの視点がどのように関係者に映り、整理されるのか注目したくもある。
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by cogno_eb2 | 2004-08-26 15:52 | スポーツ

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