2009年 08月 29日 ( 1 )   

認識→評価 客観と主観の構造(8)   

 このように、我々の生活の上では、集団に所属することで、自然状態には何らかの制御がかかっているともいえるのであるが、言い換えれば、自然状態の原因は「認識-評価」の段階での目的観の欠如であり、成果志向の欠如である、ということができる。

 すなわち、目的意識や成果志向を持ち合わせた、問題解決型の意識や意欲を失えば、人はたちまち自然状態にもどる、ということもできる。「認識-評価」から「創価」の螺旋型的成長サイクルに入るためには、目的意識や成果志向の意識を持つことが重要であり、自己の当初の個人主観的認識を、目的と予想される成果から客観的にとらえなおすことが求められるのである。
 
 目的意識は価値理念に基づいて形成され、成果志向の意識は、成果・結果を客観的にとらえることを求め、その結果、我々は因果関係をさかのぼり自身の認識過程や他者の認識過程を理解することができ、それは価値理念にフィードバックされ、自身の価値理念に影響を与える。

 我々は、目的意識と成果志向の意識をもつことで、自身を自発的創造のサイクルに突入させることができるのであり、この過程こそが価値創造の過程である。先に引用した下田の指摘のように、この自発的創造性によって外化された知識もまた理解可能な相互主観の“場”に蓄積され、それを内在化して共有され、認識主体の価値理念に影響を与える、という螺旋型的な成長サイクルとなる。

 人は、自然状態では螺旋型的成長サイクルにはなかなか入れない。組織は、人に備わる自発的創発性をいかに引き出し、いかに効率的に螺旋型的成長サイクルにのせ、成果を得ることができるかを不断に追求する必要がある。しかし組織は、いったん構築されたなら、硬直化し、停滞する負の側面を持ち合わせており、組織の不断のイノベーションは重要なテーマでもある。

 組織は人の集合であり、組織の不断のイノベーションは、すなわち組織の構成員の不断のイノベーションでもある。現代経営学が経営管理者層に「適切な価値判断と意志決定をしていく能力」が求められていると指摘し、あるいは組織的対話・企業内学習と戦略的提携・企業間学習の必要性を指摘しているのは、まさにそこに着目しているからである。

認識→評価 客観と主観の構造(9)へ続く
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by cogno_eb2 | 2009-08-29 00:08 | 社会学的考察